高齢者が保険に加入する必要性について考えると、「本当に必要なのか?」という疑問が湧き上がります。若い頃から当たり前のように保険に加入してきた方も、人生の後半では保険が不要な場合があります。
1.家族の自立
保険の主な目的は、契約者がなくなったときに家族が経済的に困難にならないようにすることです。高齢者の場合、多くの子どもたちは自立しているケースが多いのではないかと思います。親が生命保険で経済的な保障を残す必要性は低下しているはずです。特に、持ち家や十分な資産を持つ家庭では、保険金がなくても葬儀費用や相続税の支払いに問題がない場合が多いです
2.高額な保険料
高齢者が新たに保険に加入する場合、保険料が非常に高額になります。 特に、健康状態が悪化していると、医療保険や生命保険への加入自体ができないこともあります。できても、高い保険料を支払うことが家計の負担となりかねません。これらの費用を避け、資産をより有効に使う選択肢を考える方が合理的ではないかと思います。
3.公的扶助で十分な保障が得られる
高齢者の大きなリスクの一つである医療費については、日本では国民皆保険制度かつ収入や年齢に応じた扶助制度が確立されれいます。
- 高額療養費制度
この制度に私の母は大変助けられました。実際に、70代の母が昨年がんに罹患し、入院・手術・抗がん剤治療を行いました。現在も継続している維持療法で服薬する薬剤は非常に薬価が高いものです。九州のK市に居住している母は年金生活者で非課税世帯の高齢者です。この自治体の場合は、外来受診の支払い上限額が8,000円、入院は23,000円が上限です。この程度の出費であれば貯蓄で賄えると思います。このように、保険に頼らなくても国の仕組みで十分なサポートを得ることができます。
4.母の場合
私の母は後期高齢者です。十数年前に父が亡くなったあとは一人暮らしをしています。収入は年金のみです。多くの親子がそうではないかと思いますが、昨年体調を崩すまでは母の家計の詳細などは知りませんでした。入院、手術など人生で初めての経験をすることになった母から、医療費の不安や今後の生活などの相談を受けるうちに自然と家計や資産、保険の話になっていきました。
- 年金額、預貯金などの経済状況
- 加入している保険
この2つが分かった時点で具体的な試算を行い母の生活が経済的には今後も不安なく送れることを確認し、本人にも伝えました。
1つ予想外だったのが保険についてです。
5.がん保険
母は父が加入していた『がん保険』に家族型として加入、父が亡くなったあとも継続できたため漠然と継続していました。保険料は月額8,000円程度。年間約10万円でトータル150万円ほどを保険料として支払っていた計算です。昨年、がんに罹患したため保険給付の対象となり、払った保険料以上の給付金が入ることになりましたが、逆にいうと癌にならなければ給付はなかったので払い損になっていました。
母の場合は高齢者で収入も低く、医療費が高額療養費制度を使うことで低く抑えることができたので、民間の保険は不要だったと結果的に分かりました。保険に加入していなくても万が一のリスクには対応できていたということです。
まとめ
高齢の親の保険について考える時、漠然とした不安感から加入するのではなく、何のリスクに備えるのか?そのリスクは預貯金で対応できるのかなど具体的な検討が必要です。
検討するにあたり医療費制度の確認をして、実際に高額な医療費が発生する可能性があるのかどうかを知ることが必要です。うちの場合は結果不要だと分かりましたが、がんに罹患し今後も治療や再発などで給付対象になる可能性が高くなったので、がん保険は継続しています。
保険は必要なモノですが、不要な人にとっては「余計な出費」になることもあります。父の保険を引き継いだ当時であれば母に保険は不要だったと思います。その保険料分を貯蓄に回していても十分医療費に充てることができていました。
保険会社にいわれるがまま加入している保険について、少し調べるだけで余計なコストを削減できる可能性が大きいです。まず、自分の保険内容を次に高齢の親の保険も見直しをしてみることをオススメします。
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